FF16の感想 その幻想をぶち殺し、探求の旅は始まった。

発売日からコツコツと続け、先日FF16をクリアしたので鉄は熱いうちに打てじゃないですが、いろいろ考えたことが消えないうちに感想をあげておこうと思います。

発売からしばらくたってますが、念のためネタバレあるので続きを読む方は下から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、タイトルはすでにわかってる方にはあれなのですが、最後のアルテマリアスのセリフはスクエアエニックスとある魔術の禁書目録のコミカライズを担ってるので、”最後の幻想”をどうのと言われると、たぶん関係はないはずなんだが、ちょっと勘ぐってしまう。

急に何の前触れもなくシリーズタイトル回収するくらいなら、ラスボスはせっかくなのでヒゲおやじみたいな風貌にしていただきたかった(笑)

とりあえず感想の要点をまとめると以下の感じ。

  1. 過去FFはもとより旧スクエアの作品のセルフオマージュなのかと思わせる内容が随所にあるように思った。
  2. FFシリーズはもうナンバリングは出さないかも、FFもといスクエアエニックスは新たな探求の旅に出るのかもしれない。
  3. 最後に僕たちの好きだったFFもといスクウェアを体現したかった作品だったのかもしれない。

1に関してはストーリー全体としてファイナルファンタジータクティクス(以下FFT)の様な超古代文明が滅びたのちの中世ヨーロッパ風ファンタジーの世界観でゼノギアスのストーリーを追加してファイナルファンタジーやってるような内容だったと言えば、もしかしたら2000年前後のスクエアファンには伝わるかもしれない*1

これは批判とかではなく、悪い点ではないと思ってる。

あげると枚挙にいとまがなくなりそうなので、わかりやすかったところだけ言うと、世界観に関しては大陸の国ごとの争いや謀略などの雰囲気はFFTのことを思い出させるには十分だったし、またストーリー面でもヴァリスゼアの生活インフラとなってるマザークリスタルを破壊して回ることで大罪人となったシドは、ラムザが聖石を集めてく中でルガウィとなった権力者等を倒していく異端者としての下りのオマージュかなと、またはシリーズに沿って言えばFF7で魔晄炉を破壊して回るアヴァランチなのかという感じ方もした。というかアルテマという名前で出てきた時点でハイレグ聖天使にいつ変身するのかこれが諸悪の根源だとオマージュなのかなと思ってしまわざる絵を得なかった

後半のストーリーはヴァリスゼアの人はどうやらアルテマが自分の器を生み出すために作りだしたというのは、私はもうそれゼノギアスデウスやん!*2としかならないし、人が神に立ち向かい縛られない自由を得るような流れはまさにそれに近しい内容でしかないなとか思っていた*3

あと、エヴァ、どうみても量産型エヴァみたいなのと人類補完計画的な雰囲気はぬぐえないと思う。*4

 

最近のRPGに詳しくないので、システム面では召喚獣切り替えながら戦う戦闘アクションは直近でやっていた原神のキャラチェンジしながら戦うシステムだな~とか思ったけど、あと他のソウルライクゲーとかも似たようなインターフェースだったりするし、ここら辺はもうこういうシステムのゲームが主流なんだろうなと思った。

 

2はタイトルにも絡むのだが、ラストバトルに”この世界を最後の幻想にしてくれる”、”究極の幻想を断ち切る”なんて言うもんだから、今までタイトルにはたいして意味のなかったようなシリーズなのに、なんでここでタイトル回収を半ば強引に言い始めたのだろうか?

そんなの僕から見たら風呂敷畳み始めたようにしか見えないよ。

エンディングの最後でジョシュア・ロズフィールドのファイナルファンタジーをチラ見せしつつ一言締めくくるのは、FF16をオチをつけつつ、本当にファイナルファンタジーは終わりを迎えたんじゃないかなと思わせるのは十分だった。*5

新たな物語が紡がれるというのは、これからのFF16の世界はアルテマから解放され、魔法もなくなった世界で誰にも縛られなくなった人が人として暮らしていく世界が物語を紡いでいくと単体で見ればそうとらえられると思うが、これが”ファイナルファンタジー”というもっと大きな言葉でつづられているのは、どうしても勘繰らざるをえなくなってしまう。

個人的にはむりやりファイナルファンタジーシリーズ自体を時系列でくくるとしたら、FF6の始まる前の魔大戦の話ともとらえられるかなとか考えてた。FF6の時点で魔法や召喚獣が消えたという背景もあったけど、FF16が魔大戦となるのかは?がつくけど。サブストーリーでミドが飛空艇を作りたいが先頭に使われてしまうことに技術のジレンマを語っていたあと、宝探しさせるというのも、飛空艇がFF6で限られた人間が使う道具だったのもあるかなと。ただしFF6の飛空艇はミドの模型の様なFF1~FF5までのタイプであり、FF6のタイプは飛行船の様な機構もあるので解釈次第な気もするし、的外れな気もする。

 

 

3、はラストに絡むのだが、締めくくりに関しては自分の知見の範囲でFF16に関しては過去のFF作品とはかなり雰囲気等が違うものに感じた。ファイナルファンタジーの主人公やメンバーって最後ピンチとかになる場合もあるけど、結局生きててハッピーエンドみたいになるのが定番かなとか思ってたが、今作は主人公は戻ってこない後味は比較的悪目になっていた。

そのほか全体的な雰囲気は、ナンバリングじゃないけどタクティクスよりも終始陰鬱な雰囲気とBGMだったりして、もう少しあかるい、すくなくともダークファンタジーな雰囲気の作品ではないようなと思ってる。自分の知ってるナンバリングタイトルの集大成みたい思ってる同じくクリスタルが重要要素として出てくるFF9と比較すると、クリスタルが絡むストーリーにしても世界のため破壊することが目的となっており、*6ここはあえてそうしてるのかは気になった。過去作は希望をもって立ち向かいぞみたいなところがいくつかあったと思うが16にはそれは一切なかったのではないだろうか?つねに悪くなる状況を立て直すような活動がメインで、マザークリスタルの破壊にもなんだかポジティブな感じを見いだせなかった。

最初の方で触れた”最後の幻想にしてくれる”、”究極の幻想を断ち切る”はめちゃくちゃメタな意味でファイナルファンタジーをこれで最後にするつもりの意図もあってそんなこと言わせてるんじゃないかとものすごく感じている。

ファイナルファンタジーは現在でも超有名ゲームであるが半面、生みの苦労、つらさもひとしお大変だったのではないかなと。常にグラフィックに力を入れていた、最新のげーむっであることを求められていたように感じるし、ファンも辛口だし、アンチみたいなのにたたかれることはそこそこ見かけるし。

かといって自分目線ではファイナルファンタジーらしさって何だったか振り返ってみるとよくわからないそもそも10以降は自分がやりたいファイナルファンタジーという感じで、ファイナルファンタジーは9でクリスタルと魔法のファンタジーに一区切りつき、文句なしと思った時、最新グラフィックでドラマを見せる感じのファイナルファンタジーはFF10ではなくFF”X(エックス)”というナンバリング以外の別作品と思えると若者特有の斜に構えた発想でやらなかった。*7

しばらく疎遠だったFF16で久しぶりに復活したのはAC6のためにPS5買うか悩んでたタイミングで近くFF16も専売で出るというタイミングだったのと、久しぶりにクリスタルがテーマだったのもあったので買ったのだった。

ある意味自分の中のファイナルファンタジーはクリスタルと魔法のファンタジーという概念があったのではないかと再認識したうえで今回のクリスタルの加護を断ち切る話を考える。*8

宣伝文句の通り、これは作ってる人間にとってはクリスタルの加護という名のファイナルファンタジーというブランドの加護を断ち切り、ファイナルファンタジーという存在を区切りをつけたかったのではないのかと思った。

ファイナルファンタジーは新しいことに挑戦し続けているというのもあるが、今作はビジュアルいおいては先進的ではあると思うが、一部のキャラ名、召喚獣、魔法、モンスターなどはシリーズ共通的な要素として引き継がれている以外はシリーズ作品ごとに相互に関連性などはないことが通例で関連性が出る作品はナンバリングの続編や、外伝としてリリースされてきた。それ以外で唯一関連性として存在してきたのはクリスタルではないだろうか?もちろん存在しないシリーズもあるが、たぶんファイナルファンタジーの要素として非常に重要な存在としては認知されていると思う。

そのクリスタル自体を破壊することで世界を救う*9クリスタル自体は最大の敵の目的成就の手段としている世界観というのは過去のファイナルファンタジーに対しての挑戦や破壊をメタな目線で含めているのではないかと考えている。

そのうえで、ストーリー展開などで”FFらしくない”ことを重ねているのではないか、過去の作品との差別化、訣別のために。それこそファイナルファンタジー自体を破壊することでファイナルファンタジーをこれで最後とするために。

なんでファイナルファンタジーを終わらせる必要があるかというのは、結局ファイナルファンタジーファイナルファンタジーであることにユーザ自体も制作再度もとらわれすぎている先に述べた状況を打ち破るための展開なのではないかとも思う。

ファイナルファンタジーをもう作らないわけではないかもしれないけど、そういった”FFらしさ”に必要以上にとらわれないことで新たな一歩を踏み出したかったのかもしれない。

クリスタルを使い創世のため人を消し去ろうとするアルテマはその象徴として、人が人らしく生きることができる世界ため倒すことで過去のFFと決別しようとしたのかもしれない。

そんな意味でもラストバトルでアルテマリアスがFF3で登場した”ハイパ””スパルク”などの旧来の召喚獣の詠唱をしたのは古い存在であることを意味するため、クライヴはそれ以降の召喚獣の故障だったのは比較的新しい存在であることを意味するためだったようにも思えるのだ。*10

 

そして、そういった過去との決別のため、製作スタッフたちが最後に自分たちが好きだったファイナルファンタジーを、それに限らずスクウェアの作品を引用、オマージュをこれでもかと詰め込み、自分たちが愛したファイナルファンタジー的なものを作ったうえでそれを訣別するために、壊すようなメタな作品にもなってるのじゃないかなと思った*11

クライヴ自身の生死も明確にはされていないものおそらく死んだようにしか見えない終わったのもクライヴ自身もあらゆる召喚獣を吸収した存在であるし、あらゆるものをつめこんだFF16自身だったとおもうとここで訣別せざるを得なかったと思える。

 

さて、過去との決別したうえで今後、新たなファイナルファンタジーのナンバリングタイトルが出るかもしれないが、たぶん私たちが思ってるようなファイナルファンタジーではないかもしれないし、ファイナルファンタジーのようなものでもファイナルファンタジーという名前ではないかもしれないなと。

ファイナルファンタジーという最後の幻想か究極の幻想は断ち切られてしまったから。

かといって現実、それがこの作品で実現されるのかは正直わからない。

われわれの世界というのは断ち切られもせず、FF16に関してはどこかで賛否両論されているだろうし、もしかしたらファイナルファンタジーのナンバリングが今後出たとしていままでのようにみられ続けるかもしれないので、それがいやならこれがほんとの最後になってしまうのかもしれない。

その場合は今までファイナルファンタジーとして出すようなものが別の名前になってるだけかもしれない。

あくまでネットのどこかで見たような気がするソースもない内容だが、ファイナルファンタジーはナンバリングをやめるか議論されていたこともあったようで、やはりスクウェアエニックスにとっては看板として重過ぎる状況になってしまったのかもしれない。

そのうえで会社としては新たな軸などを作るためにファイナルファンタジーという重過ぎる看板をどうにかしなくちゃというが本音だったりするんだろうか。

あえて1作目の”探求の旅が始まった”と対とになるようなフレーズを、シリーズを知らない人は何言ってんだとなりそうなタイミングのエンディングに差し込んでくるあたり意味することはすべての風呂敷をたたんでしまおうという意図にしか見えなかった

 

長々と書いてしまったが、わたしの妄想でしかなければ、鈍いわたしになんかでもそんなメタな見え方するようなものを露骨に見せてくるのはわざなのかもしれないし、誰かに代弁させるのが目的なのかもしれないし。しれっとFF17制作なんてアナウンスするかもしれない。

クリスタルをめぐる探求の旅は終わった、新たな物語を紡いでいくために。

 

あと余談だけど 米津玄師をつかっておけばすべて丸く収まるようなことがあらゆる業界で思われているくらいに米津玄師が使われまくってないか?宮崎駿の後にこれだぞ。

米津玄師は音楽を通してあらゆる作品の代弁者となるのかもしれない。

 

BGM-heart 2 heart(feat.茶太) -Aiobahn


www.youtube.com

*1:自分がやってるゲームがベースの感想なのでもしかしたらプレーヤーによっては感じ方は違うかも、ファイナルファンタジーシリーズは1~9とタクティクスシリーズをやってるだけなので、それ以外の内容についてはあまり把握できてない

*2:スナックバス江の森田のように

*3:正直、ゼノギアスのストーリーが重厚過ぎて、フェイとクライブがリンクするかと言えばそうでもないようなきもするし判断はできなかったが、それぞれの役割がFF16の方がまだわかりやすかったのでそれはそれで押し

*4:まあゼノギアス自体もエヴァ以降の作品だし、多少はね

*5:というかこれもデュライ白書が書かれたFFTの最後の下りにも似ている

*6:FF5と比較するとクリスタルがなくなることで敵が完全な状態になるのはあるいみオマージュされてるかもしれない

*7:11とかのオンラインはそもそもやる環境や課金が準備できなかった

*8:かといってFF16のクリスタルも依然と存在自体は一緒ではないが、9というクリスタルもあったし、多少はね

*9:今作は世界を救うというより、望む世界を得るためだが

*10:クライヴの詠唱も新しいかというと今まで通りっぽくもなるから比較して新しいということで、タイクンとかギガメスはそもそも旧呼称として存在しないけどうまく過去作の関連ワードとリンクさせて旧呼称風にしてるのは面白かった、

*11:といっても過去作オマージュ的な要素が今までなかったかと言えば結構やってるからどうなんだという見方もあるかもしれない